スマホ使いすぎで親指が痛い…もしかして腱鞘炎?簡単チェック&今すぐできる対処法
親指の痛み、もしかして腱鞘炎かも?と不安なあなた、この記事を読めばその疑問が解決します。 親指の腱鞘炎の症状、原因、自宅でできる対処法、予防法までを網羅的に解説。特に、現代人にとって身近なスマホとの関係性や、更年期や妊娠・出産との関連についても詳しく説明しています。 簡単なチェック方法も紹介しているので、ご自身の状態を把握し、適切なケアを始めることができます。つらい痛みから解放され、快適な日常生活を取り戻すための第一歩を踏み出しましょう。
1. 親指の腱鞘炎とは?
親指の腱鞘炎とは、親指を動かす腱と、その腱を包んでいる腱鞘の間で炎症が起きることで、親指の付け根に痛みや腫れが生じる状態です。正式には「狭窄性腱鞘炎」と呼ばれます。
1.1 親指の腱鞘炎の症状
親指の腱鞘炎の主な症状は、親指の付け根の痛みと腫れです。特に、親指を動かしたり、物をつかんだりするときに痛みが強くなります。また、朝起きた時や使い始めは特に痛みが強く、動かすうちに楽になることもあります。症状が進むと、親指が動かしにくくなったり、ばね指のように引っかかる感じが出たりすることもあります。安静にしていてもズキズキと痛む場合もあります。
1.2 親指の腱鞘炎になりやすい人の特徴
親指の腱鞘炎は、手をよく使う人に起こりやすいです。特に、下記のような方は注意が必要です。
- スマートフォンやパソコンをよく使う人
- 赤ちゃんを抱っこする機会が多い育児中の人
- 家事や手作業をよくする人
- 更年期を迎えた女性
- 妊娠・出産期の女性
これらの作業は、親指に負担がかかりやすく、腱鞘炎を引き起こすリスクを高めます。日常生活で親指を酷使する動作が多い方は、意識的に親指を休ませる時間を作るなど工夫してみましょう。
1.3 親指の腱鞘炎の原因
親指の腱鞘炎の主な原因は、親指の使いすぎです。親指を繰り返し使うことで、腱と腱鞘がこすれ合い、炎症を起こします。
1.3.1 スマホとの関係性
近年、スマートフォンの普及に伴い、親指の腱鞘炎になる人が増えています。スマートフォンを操作する際に、親指を頻繁に使うことが原因と考えられます。特に、長時間スマートフォンを操作したり、画面を強くタップしたりする人は注意が必要です。また、スマートフォンの持ち方によっては、親指に負担がかかりやすくなるため、持ち方にも気を配ることが大切です。
1.3.2 更年期との関係性
更年期を迎えた女性は、ホルモンバランスの変化により、腱や腱鞘が炎症を起こしやすくなります。そのため、親指の腱鞘炎になりやすい傾向があります。閉経前後の女性は、特に親指への負担に気を付ける必要があります。
1.3.3 妊娠・出産との関係性
妊娠中は、ホルモンバランスの変化や体液貯留の影響で、腱鞘が腫れやすくなります。また、出産後は、赤ちゃんを抱っこする際に親指に負担がかかるため、腱鞘炎になりやすいです。産後の女性は、無理をせず、親指を休ませるように心がけましょう。授乳クッションなどを活用して、負担を軽減することも有効です。
2. 親指の腱鞘炎チェック方法
ご自身の親指の状態をチェックする方法を2つご紹介します。痛みや違和感を感じたら、試してみてください。
2.1 痛みでチェック
親指の付け根、特に母指球と呼ばれる親指の付け根のふくらんだ部分を押すと痛みを感じるか確認します。日常生活で、下記のような動作をした際に痛みが増すようであれば、腱鞘炎の可能性があります。
動作 | 詳細 |
---|---|
物をつかむ | 瓶の蓋を開ける、ドアノブを回す、洗濯物を干すなど |
親指を動かす | スマホの操作、パソコンのタイピング、箸を使うなど |
親指を伸ばす | 指をピンと伸ばしたり、反らしたりする |
また、安静時にもズキズキとした痛みや違和感がある場合も、腱鞘炎のサインかもしれません。
2.2 フィンケルシュタインテストでチェック
フィンケルシュタインテストは、狭窄性腱鞘炎の診断によく用いられる検査方法です。次のような手順で行います。
- 親指を手のひら側に折り曲げ、他の4本の指で親指を包み込むように握りこぶしを作ります。
- そのまま手首を小指側に曲げます。
この動作で親指の付け根に強い痛みを感じた場合は、ドケルバン病の可能性が高いです。痛みがない、または軽度の痛みであれば、腱鞘炎ではない可能性があります。ただし、このテストはあくまで簡易的なチェック方法であるため、確定診断のためには医療機関への受診が必要です。
3. 親指の腱鞘炎の治療法
親指の腱鞘炎の治療法は、症状の程度や生活スタイルに合わせて、様々な方法があります。ここでは、自宅でできる治療法と病院で行う治療法についてご紹介します。
3.1 自宅でできる治療法
初期の軽度の腱鞘炎であれば、自宅でのケアで症状が改善される場合もあります。まずは安静を心がけ、炎症を抑えることが大切です。
3.1.1 安静にする
親指をできるだけ使わないようにしましょう。安静にすることは、腱鞘炎の治療において最も基本的で重要なことです。日常生活で親指を使う動作を控え、負担を軽減することで、炎症の悪化を防ぎます。例えば、パソコン作業やスマホの操作時間を減らす、重いものを持たない、ドアノブを回す際にタオルを使うなどの工夫をしてみてください。
3.1.2 湿布を貼る
炎症を抑えるために、冷湿布を使用するのが効果的です。市販の冷湿布を患部に貼ることで、痛みや腫れを軽減することができます。ただし、冷やしすぎると血行が悪くなる可能性があるので、長時間貼ったままにしないように注意しましょう。また、皮膚がかぶれやすい方は、使用前に医師や薬剤師に相談することをおすすめします。
3.1.3 サポーターやテーピングをする
親指を固定することで、安静を保ち、炎症の悪化を防ぎます。サポーターやテーピングは、患部を安定させ、動きを制限することで、痛みを軽減し、治癒を促進する効果があります。ドラッグストアなどで手軽に購入できますが、適切な使用方法を守らないと逆効果になる場合があるので、説明書をよく読んで使用するか、専門家に相談しましょう。
3.1.4 ストレッチをする
親指のストレッチは、腱の柔軟性を高め、症状の改善に役立ちます。ただし、痛みを感じる場合は無理に行わず、痛みのない範囲で優しく行いましょう。症状が改善してきたら、徐々にストレッチの強度や時間を増やしていくと良いでしょう。具体的なストレッチ方法は、後述の「親指の腱鞘炎の予防法」のストレッチの項目で詳しくご紹介します。
3.2 病院での治療法
自宅でのケアで症状が改善しない場合や、痛みが強い場合は、病院を受診しましょう。整形外科などを受診すると、適切な診断と治療を受けることができます。
3.2.1 薬物療法
炎症を抑えるために、内服薬や外用薬が処方されることがあります。痛みや腫れが強い場合は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などの消炎鎮痛剤が処方されることがあります。
3.2.2 注射
腱鞘内にステロイド注射を行うことで、炎症を抑え、痛みを軽減する効果があります。ただし、ステロイド注射は、効果が高い反面、副作用のリスクもあるため、医師とよく相談した上で治療を受けるようにしましょう。
3.2.3 手術
ほとんどの腱鞘炎は保存療法で改善しますが、症状が重く、他の治療法で効果がない場合にのみ手術が検討されます。手術では、狭窄した腱鞘を切開し、腱の動きをスムーズにすることで症状を改善します。手術にはリスクも伴うため、医師とよく相談し、手術の必要性やメリット、デメリットを理解した上で判断することが重要です。
治療法 | 概要 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
安静 | 親指を休ませる | 手軽にできる、費用がかからない | 症状によっては効果が不十分な場合がある |
湿布 | 炎症を抑える | 手軽にできる、費用が安い | 冷やしすぎると血行が悪くなる可能性がある |
サポーター・テーピング | 親指を固定する | 患部を安定させる | 不適切な使用は逆効果になる場合がある |
ストレッチ | 腱の柔軟性を高める | 再発予防にも効果的 | 痛みがある場合は無理に行わない |
薬物療法 | 消炎鎮痛剤を服用する | 炎症や痛みを効果的に抑える | 副作用の可能性がある |
注射 | ステロイド注射を行う | 即効性がある | 副作用の可能性がある、複数回注射できない場合がある |
手術 | 腱鞘を切開する | 根本的な治療が可能 | 身体への負担が大きい、入院が必要な場合がある |
適切な治療法を選択するために、まずは自分の症状を正しく理解し、医師とよく相談することが大切です。自己判断で治療を行うと、症状が悪化したり、慢性化したりする可能性があるので注意しましょう。
4. 親指の腱鞘炎の予防法
親指の腱鞘炎は、一度発症すると再発しやすい傾向があります。日常生活の中で予防を意識することで、腱鞘炎の発生や再発リスクを減らすことができます。ここでは、効果的な予防法を具体的にご紹介します。
4.1 スマホの使い方
現代人にとってスマホは欠かせないツールですが、長時間使用は親指の腱鞘炎の大きな原因となります。以下の点に注意して使用しましょう。
- 使用時間を減らす:こまめに休憩を取り、長時間連続して使用しないようにしましょう。タイマーを設定するのも有効です。
- 操作する指を変える:親指だけでなく、人差し指や中指も使うように意識しましょう。
- スマホリングやスタンドを使う:スマホを持つ負担を軽減し、指への負担を分散させます。
- 文字入力方法を見直す:フリック入力だけでなく、音声入力や音声認識機能を活用してみましょう。
4.2 日常生活での注意点
スマホ以外にも、日常生活の中には親指に負担をかける動作が多く潜んでいます。意識的に負担を軽減する工夫をしましょう。
動作 | 注意点 |
---|---|
物をつかむ | 指全体で包み込むように持つ、小さなものはピンセットなどを使うことで親指への負担を軽減できます。 |
瓶の蓋を開ける | ゴム手袋を使う、オープナーを使うなど、親指に負担をかけずに開ける工夫をしましょう。 |
洗濯物を干す、絞る | 洗濯ばさみを使う、脱水時間を長くするなど、手作業を減らす工夫をしましょう。 |
パソコン作業 | エルゴノミクスキーボードを使用する、こまめに休憩を取るなど、手首や指への負担を軽減しましょう。 |
4.3 ストレッチ
親指や手首のストレッチは、腱鞘炎の予防に効果的です。こまめに行うことで、筋肉の柔軟性を保ち、腱への負担を軽減します。
- 親指を他の指で優しく引っ張る:10秒程度保持し、数回繰り返します。
- 親指を手のひら側に曲げる:10秒程度保持し、数回繰り返します。
- 手首を回す:内回し、外回しをそれぞれ10回程度行います。
これらの予防法を意識的に実践することで、親指の腱鞘炎の発生や再発を予防し、快適な日常生活を送ることができます。すでに痛みを感じている方は、早めに専門機関を受診し、適切な治療を受けるようにしてください。
5. 腱鞘炎になったらやってはいけないこと
せっかく腱鞘炎の治療を始めても、間違った行動をしてしまうと症状が悪化したり、治りが遅くなってしまうことがあります。腱鞘炎になったら、以下の点に注意しましょう。
5.1 悪化させる行動
安静にして炎症を抑えることが重要なのに、患部を酷使してしまうと、腱鞘炎は悪化しやすくなります。具体的には、以下のような行動は避けましょう。
やってはいけないこと | 理由 |
---|---|
患部を強くマッサージする | 炎症を悪化させる可能性があります。 |
痛みを我慢して患部を使い続ける | 腱への負担が増し、症状の悪化につながります。 |
急に強い力をかける | 腱や腱鞘を損傷するリスクがあります。 |
患部を冷やしすぎる | 血行が悪くなり、治癒を遅らせる可能性があります。 |
自己流でテーピングやサポーターを長時間使用する | 適切な方法で使用しないと、症状を悪化させる可能性があります。 |
5.2 日常生活での注意点
日常生活の中でも、親指の腱鞘炎を悪化させないための工夫が必要です。特に、以下のような動作には注意が必要です。
注意点 | 具体的な例 |
---|---|
親指に負担がかかる動作を避ける | 重いものを持ち上げる、瓶の蓋を強く開ける、ドアノブを強く握る、洗濯物を強く絞るなど |
同じ動作を長時間繰り返さない | スマートフォンの長時間使用、パソコン作業、編み物、裁縫など |
負担のかかる持ち方をしない | スマートフォンの持ち方、ペンや箸の持ち方など、親指に負担がかかりやすい持ち方を改善する |
これらの点に注意し、適切な治療とケアを行うことで、腱鞘炎の症状を改善し、再発を予防することができます。症状が改善しない場合や悪化した場合は、速やかに専門家にご相談ください。
6. まとめ
親指の腱鞘炎は、スマホの使いすぎや更年期、妊娠・出産などが原因で起こる、親指の付け根の痛みや腫れを伴う炎症です。フィンケルシュタインテストで簡単にセルフチェックできます。初期段階では、安静、湿布、サポーター、ストレッチなどのセルフケアが有効です。症状が重い場合は、医療機関で薬物療法、注射、手術などの治療を受けることも可能です。腱鞘炎を予防するには、スマホの使いすぎに注意し、適切な休憩を挟む、日常生活での負担を軽減する、ストレッチなどで親指周りの筋肉を柔軟にすることが大切です。痛みを我慢し続けると悪化することもありますので、違和感を感じたら早めに適切な対処をしましょう。何かお困りごとがありましたら当院へお問い合わせください。